それでは調査の成果をもとに当地の中世の様子を想像してみたいと思います。十日市遺跡の調査区
に隣接した東側の小高い丘には、中世の桃井城跡が見られます。
十日市遺跡の中世遺構群の分布を概観すると土坑墓や柱穴群が卓越する南部の地区と館跡や掘柱建
物群が重複する北部の地区が見られ、その間に桃井城が存在しています。
これらのことから、この地域は一定の地割りをもって都市計画がなされた中世集落であることがわ
かります。
また、遺跡周辺に見られる八幡宮や寺院は鎌倉時代から室町時代に創建された伝承を持っていま
す。小字地名にもあるように十日市は、これらの寺社との関わりで開かれた定期市として位置づけ
られ、今回発掘された遺構群は、当時の庶民の生活空間もしくは市場として展開された可能性が高
いように思われます。
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