ラオス ボーケオ県ナンペー村(モン族)の焼畑 
標高740m
ナンペー村の村長ラオワーコン・ニャダーさんから2005年3月に聴き取り
焼畑の農事暦
 伐採(3月上旬)、火入れ(4月上旬)、野菜の播種(4月下旬)、ショウガの植え付け(5月上旬)、芋・モロコシの播種(5月下旬)掘り棒を使用した陸稲の播種(6月上旬)、ゴムの木の植え付け(7月下旬)、陸稲・モロコシの収穫(11月)、ミカン(1月上旬)、ショウガの収穫(1月下旬)陸稲の除草は3回行う。
 主な生産は、焼畑で近い畑は徒歩30分、一番遠い畑は徒歩2時間かかる。陸稲以外にミカン、ショウガ、パイナップルなどの果樹栽培が盛ん、野菜はモロコシ、タロイモ、トウガラシ、ゴマ、ハトムギなどを作る。焼畑は、1年目で陸稲を生産し、2年目はパイナップル畑などに利用し、2年間休耕する(3年サイクル)。新たな森林の焼畑は5年前(2000年)から行わない。1村で約72haの耕地を経営する。
収穫
 鉄製の鎌を使用するが、昔ながらの穂積具(ヴォ)は4〜5年前には使用した。村人の8割は鉄製の鎌を利用する。村長は野菜やパイナップルを生産する近郊農業を営み、村人は1世帯600〜500kgほど陸稲を生産する。6月に陸稲を播いた後、村の北部の丘で精霊の祭りを行い、鶏や豚を供える。3日間狩などは控えるが、人の出入りは可能で、見学もできる。

ナンペー村
132世帯に800人が暮らす山中のモン族の大きな村。
ラオス ボーケオ県ナンペー村(モン族)の焼畑 
標高740m
ナンペー村の地区団長カワー・フーさん(45歳)から2005年3月に聴き取り
焼畑の伐採と火入れ
 伐採(3月上旬)は、畑1.5haを3月7日(2005年)から行う予定。家族4人とそれ以外の村人が合計一日で10〜20人も関わる。
 伐採のメンバーは、毎年お願いして決めるので、メンバーは固定ではない。伐採に最大4日、最小でも2日間かかる。草の伐採は、下から上に向かって等高線沿いに各人が離れながら登っていく。刈った草はそのままにし、薪は持ち帰る。
 火入れは、4月上旬で時期は天気や草の乾燥度合いで決める。火入れは家族4人で行い、風を見ながら下から上に向かって火をつける。上から下に向かって火をつけると焼け残りが出るため、行わない。火入れの前には、風の方向によって草木を移動しておく。火入れは1日で終了する。燃え残りの木材は巾2m、高さ1mほど集めて燃やす。あまり大きくすると焼け土ができて耕作に不向きになる。今年の畑は5年前に畑だった場所で4年間の休耕期間があった。陸稲を全面に播種し、野菜はキュウリ、カボチャ、イモ、モロコシ、トウガラシ、ナスを作る。
 火入れをした後で1〜2週間後に天候を見ながら野菜の播種を行う。11月の陸稲の収穫前には、畑で鶏を殺して精霊の祭りを家族や村人5〜6人が参加して行う。祭りは穂刈の前に行う
ラオリー村の地区団長のカワーさん(子供は4男のタオリー3歳)
ラオリー村カワーさんの2005年の焼畑予定地
(奥の緑の草地1.5ha)
隣の焼畑地
昨年秋に収穫された稲株が見られる。

ラオス ボーケオ県ナンペー村周辺(クム族)の焼畑の伐採
標高500m
ナンペー村から下山で見学できた伐採風景
焼畑の伐採
 ナンペー村から下った標高500m前後で見られたクム族3人の伐採の様子(2005年3月1日)
篠竹の伐採
鉄製の鉈鎌を使って根本から伐採する。伐採した草は、そのまま放置している。

伐採具
モン族と同様に先の曲がった鉄製の鉈鎌を使用する。
伐採が終了したクム族の焼畑地
モン族のナンペー村周辺の丘陵は、クム族と領域らしい。
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