空間線量率計で食品の放射線量の簡易測定は可能だろうか?

(その2 汚染土を使って検量線をつくる)
 空間線量率計を使って食品中の放射線量を測るためにはいくつかの制約があります。食品中に含まれる放射線源には放射性セシウム(Cs-134やCs-137)や放射性ヨウ素、放射性ポタッシュ(カリウム)(K-40)などの種類があります。本来は、これらを別々に測定して放射線量を計測する必要があります、今回は簡易測定なので天然起源のK-40と放射性セシウム全量を対象に調べることにします。
 空間線量計の放射線量は、人体にどのような影響が出るかを知るためのSv(シーベルト)で表示されるため、食品に含まれる放射線源が持っている放射線の量であるBq(ベクレル)を求める必要があります。これには、ベクレル量が明らかな試料を複数測定して、空間線量計のSvから検量線を作成して、推定することが可能です。
 11月に群馬県北部の中之条町暮坂峠から採取した汚染土壌を自然乾燥させ、粒度篩を使用して篩い分けを行います。これは試料の大きさによるばらつきをなくすために必要です。土壌試料は1/16mm以下のサイズに篩い分け重さを電子天秤で量りました。
 秤量した土壌試料は、合計して1000.0gになるように汚染されていない小麦粉と混ぜて測定試料とします。これらの試料を測定ボックスに入れて、バックグラウンドと線量を測定します。
 このようにして検量線の元となるデータは得られましたが、このままでは検量線にはなりません。これらの試料のベクレルの量を調べなければならないです。
 試料に含まれる放射線量は、LB2045という機器を使用して測定します。これらは民間のレンタル測定スペースを利用して有料で測定することが可能です。
 こうして完成した検量線は、鉄で遮蔽した測定室内に試料1kgと測定器を入れ、90秒フィルタで30分間測定し、線量の平均値を求めて検量線グラフに内挿することで求められます。
 また、測定室のバックグランドは0.008±0.002μSv/hなので、約40Bq/kgが検出限界となります。また、測定した線量の誤差がそのまま、グラフで読み取られた誤差の幅になります。
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